Life in NY

アメリカ ニューヨーク州立大学 ニューパルツ校での交換留学日記

環境を守るためには異文化を否定できるのか?

水道水の問題が発生してから1週間経ち、形としては収束に至り(本当にもう安全だとはほとんどの人が思ってはいませんが)、日常が戻ってきました。

 

今週はSDGs週間?だそうで、大学内でSDGsに関する催しが色々行われています。

SDGsとは国連が2030年までに達成することを目標に掲げた17の目標で、貧困や格差の撲滅、環境に負荷がかからない持続可能な開発などが含まれています。

 

この大学もこの目標の達成を目指して活動しているようで、その一つが図書館の入り口に掲示されてるSDGsに関するポスターです。

ここでは17の目標とともに、大学内でどのような取り組みが行われているのかを簡単に説明しています。

 

ここで私が気になったのは14個目の目標である「海の豊かさを守ろう」の一環として "STOP WHALING"(捕鯨をやめよう) と言うポスターが貼られていたことです。

 

 

もちろん、海の豊かさや多様性を守ることはとても大切です。乱獲による絶滅は間違いなく人間の責任ですし、言い逃れできることではありません。

 

しかし、それぞれの地域にはそれぞれの食文化があります。現在の鶏や豚、牛を食べると言う文化は西洋諸国が各国に広めたものであり、世界的に当たり前であると言うわけではありません。

世界各地にはカタツムリや昆虫を食べる文化、猫や犬を食べる文化、キリンや象を食べる文化…人間になくてはならない動物性タンパク質をそれぞれの環境で摂取する先人たちの知恵とそこから生まれた文化があります。

 

日本でも元々豚や牛が食べられていたわけではなく、明治維新とともに西欧諸国に負けない国づくりの一環として、体を大きくする目的で肉食が取り入れられたと言われています。それまでの人々にとって豚や牛を食べると言う行為は忌諱されていたのです。

それまで日本人が食べてきた水産資源は他の文化圏から見ると、受け入れがたいものかもしれません。鯨やタコなどが有名な例だと思います。

 

もちろんそれは自分の文化として、自分が食べることを受け入れられないと言うのは自由ですし、それは当然の反応だと思います。しかし、だからと言って他の文化圏の人が食べることそのものを否定していいわけではありません。もちろん衛生上の理由から政府が野生動物の取引を規制すると言うのはあるでしょうが、簡単に人の文化を否定していいはずがないと私は思っています。

 

アメリカに行くとアジア人は犬・猫を食べる言うイメージを持っている人が多く、かなり頻繁に質問を受けます。鯨についても、以前公園で出会った見知らぬ人に「どこからきたの?」と聞かれ日本からだと答えると「日本は好きだけど、鯨を食べることだけは許せない」と言われました。私は早くその見知らぬ人から離れたかったので何も反論しませんでしたが…

 

私は小学校の◯十年前の給食を再現した特別メニューでしか鯨を食べたことはありません。鯨を食べるのは日本だけではありませんが、近い将来日本で鯨を主要なタンパク源にすることはないでしょうし、乱獲するようなこともないと信じています。だからこそ、日本人が鯨を日本の食文化として考えている以上、他国の人にその文化を否定して欲しくないです。それぞれの食文化をお互いが尊重していけたらなと思っています。

 

長くなりましたが、読んでくださりありがとうございました。